
Descripción
高齢になっても、認知症になっても、人は喜び、楽しみ、幸せを感じながら生きることができます。 本シンポジウムでは、医療・保健・福祉と芸術をつなぐ「芸術の社会的処方」に焦点を当て、日米の先駆的な実践を比較し、その意義、効果の捉え方、社会実装の可能性を考えます。本シンポジウムは、日米における社会的処方の社会実装に関する比較研究の成果発表でもあります。 ■社会的処方(Social Prescribing)とは? 医師や専門職が、薬や治療だけに頼らず、地域の人や活動、芸術・文化、自然、運動などの非医療的な資源を「処方」し、孤独や社会的孤立、意欲の低下などを改善し、心身の健康と生活の質の向上を目指す仕組みです。 ■超高齢社会に、新しい選択肢を。 高齢期の課題は、病気や身体機能の低下だけではありません。孤独や社会的孤立、意欲の低下、生きがいの喪失など、薬物療法だけでは解決できない課題があります。 いま世界では、芸術、自然、運動、地域活動などの非医療的な社会資源を、健康やウェルビーイングを支える手段として医療・福祉につなぐ「社会的処方」(Social Prescribing)への関心が高まり、これらを既存の医療やケアの仕組みの中で実装する試みが始まっています。 日本には、医療と介護、地域の生活支援をつなぐ地域包括ケアシステムがあります。では、この仕組みの中に「芸術の社会的処方」をどのように組み込むことができるのでしょうか。 ■考えるべき4つの問い ・誰がつなぐのか―誰が必要な人を見つけ、芸術活動や地域資源へつなぐのか。 ・何を届けるのか―どのような芸術やプログラムを選び、その人らしい参加を保障するのか。 ・どう確かめるのか―効果と質をどのように評価し、検証していくのか。 ・どう続けるのか―誰が費用を負担し、持続可能な仕組みにするのか。 本シンポジウムでは、米国と日本の先駆的な実践と研究を手がかりに、「芸術の社会的処方」を、日本の医療・介護・地域包括ケアの中でどのように社会実装できるのかを考えます。 「病気を治す」だけでなく、「その人がよりよく生きること」を支える社会へ。 ■シンポジウムのゴール ・芸術の社会的処方の可能性を共有する ・日本の地域包括ケアにおける実装の道筋を探る ・政策提言につなげ、継続的な仕組みづくりへ ■登壇者(2026年8月現在。登壇者は今後追加予定です) ・ピーター・J・ホワイトハウス(Peter J. Whitehouse, MD, PhD) ケース・ウェスタン・リザーブ大学神経学部教授。神経学、精神医学、心理学、認知科学、生命倫理学など、複数分野を横断して研究・教育に携わる。脳の健康と加齢を、心理・社会・環境の総体として捉える「ecopsychosocial」の視点から、認知症、芸術、健康、世代間交流の関係を研究している。 アルツハイマー病の臨床・研究センターを創設・運営した先駆者で、査読論文300本以上、著編書14冊を発表。共著書『The Myth of Alzheimer’s』でも知られ、妻とともに多世代が学ぶ公立学校「The Intergenerational School」を創設した。東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)での研究滞在を含め、日本の認知症研究・ケア関係者と長年交流を重ね、2018年に日本認知症学会名誉会員に選出された。 ・アルデシール・Z・ハシュミ(Ardeshir Z. Hashmi, MD, FACP) クリーブランド・クリニック老年医学イノベーション寄附講座チェア、老年医学センター統括責任者、内科・老年医学部門副部門長。ケース・ウェスタン・リザーブ大学およびクリーブランド・クリニック・ラーナー医科大学院医学部助教を兼任する。現在はクリーブランド・クリニック・アブダビの医療専門部門長も務め、老年医学、健康長寿、本人中心のケアを専門とする。 社会的処方の分野では、クリーブランド・クリニックのArts and Medicine Institute、地域の樹木園・植物園、オハイオ州各地のメモリーカフェと連携し、芸術や自然、地域資源を医療・ケアにつなぐ実践を展開。Social Prescribing USAのアドバイザーを務め、その取り組みは『TIME』誌および医学・医療政策誌『Health Affairs』でも紹介されている。 ・藤井 昌彦(Masahiko Fujii, MD, PhD) 仙台富沢病院・山形厚生病院 統括理事長/東北大学加齢医学研究所 客員教授 弘前大学医学部・同大学院卒。内科学、地域医療学を専門とし、長年にわたり認知症医療と非薬物療法の研究・実践に取り組む。認知機能だけでなく、人に残された情動機能に働きかける「認知症情動療法」を佐々木英忠氏らと研究・実践し、BPSDを含む認知症の症状と情動との関係、情動を重視したケアとその評価について研究を続けている。現在、重度認知症患者を対象としたARTRIPの効果について、臨床的評価に加え、ヒューマンセンシング、音声解析、AI等を用いた効果検証に取り組んでいる。佐々木氏らとの共著に『認知症情動療法』(芳林社、2018年)がある。 ・林 容子(Yoko Hayashi) 一般社団法人Arts Alive代表理事、ARTRIP創設者。本シンポジウム企画・研究代表者。コロンビア大学大学院MFA(芸術運営学)。 1999年よりの介護施設でのアート創作活動を経て、2009年にArts Aliveを設立。2011年度安倍フェローとしてケース・ウェスタン・リザーブ大学客員研究員を務める傍ら、対話型美術鑑賞プログラム「ARTRIP」を開発した。2012年以来国内外の美術館、病院、施設等で実践するとともに、独自のARTRIP(アートリップ)対話型鑑賞プログラムのファシリテーター養成講座を開講。一方、国立長寿医療研究センター、マギル大学(国際共同研究「A-Health」)との芸術が高齢化に与える臨床効果の共同研究を経て、現在は、仙台富沢病院の佐々木英彦、藤井昌彦医師とARTRIPの情動療法効果検証をヒューマンセンシングを通して計測する研究にかかわるとともに、芸術の社会的処方に関する日米英比較研究と社会実装に取り組んでいる。 ■開催概要 日時:2027年2月20日(土)13:00〜17:30 会場:国立新美術館 講堂(東京都港区六本木7-22-2) 定員:200名 言語:日英同時通訳付き 参加費:医師 6,000円/一般 3,000円 主催:一般社団法人 Arts Alive 助成:独立行政法人国際交流基金「日本グローバル・パートナーシップ強化助成事業」