京都人類学研究会2026年度11月例会 どうしたら本当に「返ってきた」と言えるのか :ベナン古美術返還問題における民間アートセンターのイニシアティブとアートワーカーの働き
2026年11月20日金曜日 · 18:00京都大学 稲盛財団記念館
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京都人類学研究会 2026年度11月例会 「どうしたら本当に「返ってきた」と言えるのか:ベナン古美術返還問題における民間アートセンターのイニシアティブとアートワーカーの働き」 【日時】 2026年11月20日(金)18:00(17:45開場予定)〜20:00 【会場】 京都大学稲盛財団記念館3階 大会議室 【登壇者】(敬称略) 中村 融子(京都大学アフリカ地域研究資料センター 特任研究員) 寺岡 樹音(京都芸術センター アートコーディネーター) 【概要】 かつての植民地支配に伴って、ヨーロッパ諸国がアフリカ大陸から持ち去った美術品を返還する動きが強まっている。2021年、フランスのケ・ブランリ美術館から現在のベナンに存在したダホメ王国からの略奪文化財26点がベナンに返還され、美術館の脱植民地化の事例として注目されてきた。 しかし多くのベナン住民の目線からは「返ってきていないも同然」の状況がある。返還された文化財は、同国最大都市にあるコトヌの大統領府での一度の展示ののち厳重に保管され、一般の住民には日常的にアクセスできる機会はない。そもそも奪われた元の場所である古都アボメには、それらは一度も返っていない。また百年以上の剥奪は、文化財を鑑賞し意味づける知の体系や文化の生態系自体も破壊してきた。 本発表では、百年以上奪われてきた文化財を「返す」内実に注目し、民間のアートセンターの役割について報告する。アフリカ大陸の多くの国では、展示場、レジデンス、図書館、子供向けプログラムなど多機能を併せ持つアートセンターが存在し、同時代美術とそれを支える文化の生態系の涵養に欠かせない役割を果たしてきた。ベナンのアートセンターでは特に、美術以外の企画を含む子供・地域住民への働きかけや、当地の言語であるフォン語での実践によって遺産と記憶を人びとに繋ぎ直している。アートセンターはこれらの活動を通じて、美術の持つ前衛性や交渉力と、地域の暮らしとを、ジョージ・ラミングの言う「頭と胴を繋ぐ」ように結びつけてきた。古美術返還でも、アートセンターは国家間返還を補い、時に先取りして、文化財を人びとのものにしている。それは美術と民族誌資料という西洋由来の二分法を問い直す営みでもある。 とくに、仏ギャルリ・ヴァロワの支援でコトヌに建てられ、国家間返還の前から「民間の古美術返還」を行ってきたLe Centreと、その着想源である、現代美術家ドミニク・ジンクペがアボメで運営するLieu Unikは重要である。後者はダホメの王宮を現代の芸術的想像力で甦らせた公共空間で、地域住民や修学旅行の子供たち、演劇や音楽などの多様な表現者にも開かれている。 併せて、本発表ではアートセンターの活動を可能にする多様なアートワーカーの役割にも着目する。アートセンターは、知と文化の生産を担う次世代のアートワーカーを育てる場でもある。ただし、これらには世代をまたぐ時間と多様なコストがかかり、構造的制約も多い。その背景には常に植民地支配の構造がある。こうしたアートワーカーの働きについて、現場の知見からとらえ、成果と限界の両面から共に考えるために、京都芸術センターでアートコーディネーターを務める寺岡樹音氏をゲストに迎える。 アイヌと琉球の遺骨返還などに代表される日本が依然抱える問題も念頭におきながら、古美術返還を同時代的な、現在進行形の実践として考える機会としたい。 【開催形式】 対面開催 ※講演会終了後、1時間ほど懇親会を開催する予定です。 ※オンラインでの配信、アーカイブの配信はございません。予めご了承ください。 【参加登録】 Peatixのイベントページよりご登録をお願いします。 (登録締切目安:2026年11月15日(日)23:59) 【参加費】 教職員・一般:500円 学生:300円 懇親会:別途300円 ※参加費、懇親会費ともに当日会場にてお支払いをお願いします。 懇親会参加をご希望の方は、懇親会のチケットも合わせてお選びください。なお、懇親会は当日の飛び入り参加も可能です。 主催:京都人類学研究会 連絡先:京都人類学研究会事務局([email protected])